ご家族の積極的な関わりで、外出できるようになった引きこもりのケース

最近、ご家族の積極的な関わりを受けて、数年間外出できなかった引きこもりの方が外出できるようになったとの報告を受けました。

何かしら参考になることがあるかもしれませんので、その経過について、シェアしたいと思います(個人情報保護の面から、一部修正を加えています)。

この方は30代後半の男性で、ご高齢の両親と同居されています。数年前から外出することができず、精神科訪問診療を受けていました。家の中で大声や、家族への暴言が続き、これまでに何度も入退院を繰り返してきたようです。数年前からは玄関でドアを開けただけで不安で体が震えてしまう状態となり完全な引きこもりとなっていました。薬物療法も受けていましたが家族が管理することを拒否し、自己判断で不規則に服薬している状態で十分な効果が得られていませんでした。

そのような状況で私が関わることになりました。

まずは、ご本人の要求を十分に聞いて、それを叶えるための方策を考えることから始めました。それと並行して、本人の状況の理解に努めました。その上で、ご本人の状況(見立て)、治療方針については、本人のみならず、家族全体にも伝え、ご家族みんなで共有するようにしました。

ご家族のお話、第一印象から、ご本人の緊張がとても強いと感じました。家でリラックスできていない、ご家族との信頼関係が十分ではないかもしれないと思われました。そこで、まずは、精神的にリラックスできる状況を作ることを目指すことにしました。そして、ご家族にその必要性、具体的な方法について説明しました。ここまでの説明がかなりの量になったため、後日、説明内容を補足し文章にしてご家族に送り、繰り返し読んでもらいました。

その結果、ご本人はいくぶんリラックスして過ごせるようになったようで落ち着いた日も多少出てきました。しかし、まだ、日によって波がある状態でした。

以後、定期的に、ご本人とご家族から状況を聞き、その都度問題を明らかにし、解決策を提案してきました。

しかし、最後まで残ったのは、服薬管理の問題でした。なぜか、ご本人は、服薬管理をご家族に任せることだけはずっと拒否してきました。

そこで、ご家族の信頼関係が大分改善したと思われた頃、この問題を扱うことになりました。服薬管理の重要性を説明し、無理なく確実に服薬できる方法について家族全員で意見を出し合いました。

結果として、ご本人が最後まで拒否した、ご家族による服薬管理を受け入れ、そして実行してくれたのです。そしたら、それまでのご家族への暴言はおさまり、しかも、数年ぶりに、ご家族と外出できるようになったというのです!

これにより、他の誰でもないご本人が確実な服薬がもたらすメリットについて実感したようでした。

これまでは、おそらくご家族への信頼が十分でなかったこともあり、自分しか頼れなかったのでしょう。すべて自己判断で薬を飲んだり飲まなかったりした結果、薬の効果が不十分のため混乱し、自分でもどうしていいかわからなくなっていたと思います。そして、その状態で服薬を管理するという悪循環に陥っていたのでしょう。今回、ご家族の関わりで、その悪循環を断ち切ることができたのだと思います。

今回のケースから学んだこと:
ご家庭がリラックスできる環境を目指す中、ご家族への信頼感が戻りつつあったこと、全てご家族と一体で治療を進めてきたことで、服薬管理という患者さんにとって命にかかわる大事なことをご家族に任せることに対し許可を出せるようになった結果なのかもしれないと思いました。

これまでにも、ご家族が患者さんの治療に積極的に関わることで、今回のように治療が劇的に進んだケースを数多く見てきました。

また、機会があれば、報告したいと思います。

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