一般に、人にお願いするのが苦手な人は、まじめで、責任感が強い人に多いように思います。
そして、「人にお願いする」ことは、能力が低い、または、責任感が不十分であることを示す行為と考えてしまいがちです。
このような考えを乗り越えて、必要な時に必要なことをお願いできるようになったら
素晴らしいと思いませんか?
そうなれば、今抱えている問題の多くは解消するかもしれません。
さらには、「何か突然の問題があっても、何とかなるだろう。」という安心感を持って、日々過ごすことができるようになるでしょう。
そうなれば、作業により集中できますから、時間的な余裕も生まれます。
それにより周りの人を サポートする機会も 増えるでしょう。
その結果、自分への自信も増えてくるでしょう。
そのためにも、一番始めに必要になる
人にお願いする時に生じる心のブロックを外す方法 についてお伝えします。
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人にお願いする時には、意識的に以下を行なってみて下さい。
①相手に集中する(相手の感情に意識を向ける)。
②「人にお願いすることは、相手に喜びを感じるチャンスを与えること」と考えましょう。
③ただ、相手が喜ぶことを想像して、お願いする。
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◆人はお願いする時、どのような感情になるでしょうか?
・「自分が 低く評価されてしまうのではないか?」
(自己重要感の低下)という恐怖・不安。
・「もし、断られたら、どうしよう?」という恐怖・不安。
実は、こうした恐怖・不安は、生活する上で、人間関係の中で頻繁に現れるものです。
そこで、人にお願いするためには、こうした恐怖・不安への抵抗力を高める必要があります。しかし、感情のパワーはとても大きいので、感情を押さえつけるのは 容易なことではありません。そのため、人にお願いすることは、なかなかできないのです。
◆相手の感情に意識を向ける。
特に意識をしないと、脳は自然に、自分の感情に意識を向けてしまいます。
すると、あとは自動的に、上記のように、自分の評価、断られた時の恐怖・不安が湧き上がってくるという流れになってしまいます。
しかし、この時、相手の感情に意識を向けるとどうでしょう。
自分が相手にお願いした時、相手はどんな感情になるか想像してみるのです。
「自分を頼ってお願いしてきた」と相手が思ったらどうでしょう。
悪い気はしないと思いませんか?
マザーテレサは言っています。
「この世の最大の不幸は、貧しさでも病気でもありません。
自分が誰からも必要とされていないと感じることなのです。」
人は、誰かの役に立つことで 自尊心が高まり、大きな喜びを得るようになっています。
相手の感情に意識を向けることで、お願いすることは、「相手が喜ぶ機会を与えること」だと感じることができればしめたものです。
これが実感できたら、そのまま勇気を持ってお願いして下さい。
人は、自分のためにはできなくても、他の誰かのためならパワーがわいてくるものです。
お願いするのは、相手のためだと思ったら、さらに勇気が出てきませんか?
また、頼まれた相手は、自分のために頑張ってくれるので、相手の能力を引き出すことにもつながります。
ポイントは、一度、自分を消して、目の前の相手の感情に集中することです。
◆相手が喜ぶことを想像して、お願いする練習を繰り返す。
ただ「相手を喜ばすチャンスを与えよう。」と考え、お願いしてみて下さい。
精神的に余裕のある時には、少しハードルの高いお願いを、
余裕のない時には、ハードルの低いお願いからといった具合に。
これを続けていくと、様々な行動にブロックをかけている自分の意識から自由になります。結果として、いろんなことに チャレンジできるようにもなりますよ。
こうした“お願い”の素晴らしいメリットも感じながら、日々、少しずつ、簡単なことから、“お願いする練習”をしてみては いかがですか?
精神科医 阿部正人