長い間引きこもり生活を続けられているお子さんをお持ちの方へ (第3回)

初めの第一歩について

★具体的な方法

★その他、必要なこと

★最後に

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目標は、「お子さんとの信頼関係を築き、なんでも話せる状況」を作ることです。

 

それができたら、これまでのお子さんの経験を元に、少しずつ今後の対策を一緒に検討することです。

きっと、これまでには考えもしなかった素晴らしいアイディアも出てくることでしょう。

 

★具体的な方法

1.まずは、お子さんの目を見て挨拶をして下さい。

(目を合わせると、相手の反応がよく分かります。今日の気分、体調、話が伝わっているかどうかなど。)

2.何かやってもらったら、感謝の気持ちを伝え褒めてあげて下さい。

3.家の中での居心地を良くする。ゆっくり休養してエネルギーを満たせる環境を。

4.日頃「相談したいことがあったらいつでも言ってね。」と声がけをしておく。

そして、何か話しかけてきたら、ひたすら聞くことに専念して下さい。

こちらが話すときは、相手の意見を否定しないのはもちろんですが、できるだけこちらの意見も述べないことです(求められた時以外)。とにかく、相手の感情を引き出し、理解することに専念して下さい。

お子さんが話すことは、お子さんにとっては100%正しいことであるのは確かなので。

お子さんが、自分が話すことはなんでも聞いてもらえるとわかったら、これまで以上に自分の気持ちを伝えるようになると思います。(適度に、うなずきなどを入れ、こちらは興味を持って聞いていることを伝えるようにしましょう。)

 

しかし、これは、エネルギーのいることなので、疲れているときは、積極的に気分転換を取り入れて下さい。(外出したり、趣味に時間を使って下さい。)

また、会話の途中、対応に対し限界を感じたら、何かの用事を見つけてその場を離れても良いと思います。

 

ご家族が何人かいる場合は、適宜担当を分担しながらやっても良いと思います。

 

★その他、必要なこと

①「子供じゃないんだから、(一人で)なんとかしなさい」はできれば言わないように。

これは、ある程度、何とかやれている人に掛ける言葉だと思います。

精神科に通院し、服薬しているケースもあるかもしれません、長い間引きこもりで自信をなくしている人にはできれば避けたい言葉です。こうした自立を促す言葉は、逆に、現状を直視しなさい、今すぐなんとかしなさいという、プレッシャーにしか聞こえません。(周りから言われるだいぶ前から、自分で自分にそのような言葉を数え切れないほどかけ続け、その結果、なんともならずに、今に至っているのですから)→この先にあるのは、さらなる自暴自棄だけです。

 

リラックス、安心させて、信頼関係を作り、信頼して、待つことです。

 

②思いは伝わります。→言葉より思いを大事にして下さい。

長年引きこもりの人は、常に周りの人がどう思っているか、自分はどう言い訳しようかと考えています。

→人の思いに対しアンテナが敏感になっています。

→言葉もそうですが、態度で、それを察してしまいます。いくら表面的には思いやりのある言葉をかけても、面と向かえば一発でわかります。思いを変えることが必要です。

 

1.信頼関係ができていれば、何を言ってもいい。

怒っても、怒鳴っても言いたいことが伝わります。

 

2.一般に「鬱病の人に頑張れと言わないように」と言われていますが、

信頼関係が出来て、本当に頑張ってほしいときは、頑張れということが効果的なこともあります。逆に、信頼関係が出来ていない場合には、どんなに優しいことを言っても伝わりません。

 

③本人の言葉、「今大丈夫だから」、と言っても鵜呑みにしないで。

大丈夫そうに振る舞っていることもあります。しかし、本人の言う通り、本当に今、大丈夫だとしても、この状態が続くと、確実に年も取るし、体力も衰えてきます。不安は間違いなく増大します。そして、ある時、何かをきっかけに、その緊張が折れてしまうことがあります。

 

 

★最後に

 

今回お伝えした内容は、全てどこかで聞いたことのあることばかりだと思いますが、

これを続けることは実は大変な作業です。

 

家族における信頼関係を築くことは、人間関係を新しく再構築することで、一大作業です。

 

くれぐれも、一気に変えようとするのではなく、

一日に5分でも、10分でも意識する時間を持って、

それを少しずつ積み重ねていくイメージでやってみて下さい。

 

休み休み。

 

でも、ご家族が疲弊し限界を感じる時は、すぐに専門家に相談して下さい。

 

ご質問、やってみた時のご感想などありましたらご連絡下さい。

(質問には個別にはお応えできませんが、大切な内容につきましては、

今後、解説していこうと思います。)

 

精神科医

阿部正人

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