精神科医が教える精神科医を効果的に利用する5つの方法
【目次】
1.はじめに
2.一番大切なこと
3.基本的なこと
4.精神科医が得意とする5つの能力とその利用方法
【精神科医が得意とする5つの能力】
①情報を収集して、整理する能力
②情報を元に、診断し今後の解決策を立案する能力
③専門知識を一般の人にできるだけわかりやすく説明する能力
④患者さん周囲の人に支援、協力を依頼する調整能力
⑤問題解決能力
上記の各能力ごとに以下を解説
(1)この能力を最大限に利用するための方法
(2)精神科医からこの能力を引き出す為の質問例
(3)説明
5.最後に
1.はじめに
皆さんは「目の前の先生から、より良いサービスを受けるにはどうしたら良いか?」と考えてみたことはあるでしょうか。
意外にそのように考えたことのある人は少ないのではないでしょうか。
多くの人は、医療とは、何か神聖なもので、与えられるものをありがたく受け取るべきものというイメージがあるかもしれません。
医療は、人間にとって一番大切な“生命”を扱うものなので、そう考えるのも仕方のないことかもしれません。
しかし、客観的にみると精神科を含む医療はサービス業です。医学的専門知識を持った医師によるサービス業です。
しかも、それを行っている医師も、普通の人間です。このことを少し意識することは、より良いサービスを受けるための大きなヒントにつながるのではないでしょうか。
そして、そのヒントは、同じサービス業であるデパートやレストランで良いサービスを受けるには?と考えることにあると思います。できるだけ賢い客になれば、より良いサービスを受けることができると思いませんか?
そうなんです。
それでは、精神科において、“より良いサービスを受ける”とはどんなことでしょう。
患者さんが治療をする上で必要な情報を、正確に十分に与えてもらいうことだと思います。
これができたら、治療が効果的に進み早く良くなると思いませんか?
それでは、その為に必要となる精神科において、“賢い客になる”とは、どういうことでしょうか?
物わかりの良い患者さんになることではありません。
それとは全く逆です。(物わかりの良いだけの患者さんは、簡単な説明で済まされてしまうことが多いです。)
「精神科医を効果的に利用する方法を知り、それを実行できる患者さんになること」だと思います。
医師も同じ人間です。しかも、もともと奉仕の精神にあふれ、何かを与え人の役に立ちたいと思っている人が多いです。ですので、先生の得意なこと、専門とすることをうまく引き出してあげればいいのです。
というわけで、精神科医の立場、日頃の臨床の観点から、そのために患者さんやご家族の方ができると思われることを
整理してみました。
世の中には、“良い医者の見極め方”に関する本が多く出回っています。でも、必ずしも“その本に書いてある良い医者”に巡り合うとは限りません。精神科の場合は、他の科に比べて相性というものが大きく影響することは事実ですので、”良い医者”と言われている先生に巡り合うことができたとしても、その先生が必ずしも、自分にとって“良い”とは限らないこともあります。
自分にとっての“良い先生”に出会わなかった場合、その都度、病院を変えなければならないのでしょうか?必ずしもそうだとは限りません。その判断は、今回お伝えすることを試してみてからにすることをお勧めします。
それでは、説明しますが、まずは、一番大切なことから説明します。
2. 一番大切なこと
① これから説明することは、患者さん一人で行う必要は全くありません。
② これから説明することを診察室で行うことを イメージした時に少しでも不安を感じる場合は、身近な信頼できる人にお願いし、同伴してもらいましょう。(その際、この文書を見せてあげると良いでしょう。)
せっかく方法を知ったとしても、行動できなければ全く意味がありません。
しかし、行動することに対し不安を感じている場合は、是非、協力してくれる人を探しお願いしましょう。確かに、ご家族など身近な人の協力を得ることは、意外と難しいのは事実です。自分のことで心配をかけたくない、または、自分の弱みを見せたくないという思いも出てくるかもしれません。
でも、これまでの経験から言えることですが、ご家族や身近な人の協力を得ることにより確実に治療の効果は大幅に増大します。同伴者がいることで、精神的な余裕が全く違います。診察室でも、余裕をもって考える時間ができますし、自分から言いにくいことがある場合は、事前に家族に言ってもらうようお願いすることもできます。
世の中には完璧な人間はいません。少しでも早く回復することを第一優先に考えて必要な行動を実行することを期待します。
3.基本的なこと
基本、精神科医は精神医学の専門家ですが、患者さんが治るための手助けしかできません。
実際には、精神科医のアドバイスを元に、患者さんが行動することが重要です(日常必要な活動-内面的、外面的、確実な服薬など)。
精神科医は経験に裏打ちされた専門的な情報を数多く持っているため、これを利用すれば、今の自分に必要な情報をまさにピンポイントでタイムリーに得ることができます。
これを最大限に利用して欲しいと思います。
この専門家の知識、経験,さらには専門家の脳を利用して(この“利用する”という感覚を是非、持ってほしいと思います)、現在の自分の状況を評価、整理しつつ、診断、対応方法を手に入れ、アドバイスを受けながら症状の改善をはかるという積極的な心構えを持つべきだと思います。
そのためには、一般的に精神科医が得意とする能力を事前に見極め、そこを利用することが必要だと思います。
精神科医が得意とする次の“5つの能力”を是非とも活用すべきです。