今回は、第3回目【子供が親離れする過程における大切なこと】についてお伝えします。
ここまでみてみると、子供が親離れする過程について、2つの大切なことがわかると思います。
1つ目は、スタートにある「親が絶対に自分を守ってくれるという信頼、絶対的な愛。無条件の愛」がすべての源になっていることです。このスタートがしっかりできていない場合、基礎工事が不十分な状態で高層ビルを建てるようなものだと思いませんか?(ただし、後述しますが、人間と高層ビルとの最大の違いは、人間は、あとで気づいた時にやり直しができるということです)。
二つ目は、親離れが十分に完了した後で、自立を促されることが一番望ましいということです。
親離れの過程は、子供の身体的、精神的な成長と育つ環境の絶妙なタイミングが相まってなされます。ですので、この過程は、時間が経てば自然に達成できるようなものではないので、完了の時期は個人差があります。
親離れの過程が十分に完了する前に、安心のもとであるべき親から引き離され、自立を促されると、毎日大きな不安な状態を強いられることになります。この不安は、生死に関わる最大レベルのものです。ですので、子供は毎日、最大レベルのストレスのもとで過ごすことになります。
でも、多くの場合は、すぐには問題化しません。親の命令に対しては、子供は最大限の努力で毎日死に物狂いで頑張るからです。子供にとっては、親は生死にも関わるほどの絶対的権限を持っているからです。
「○○ちゃんは、もう、お兄ちゃんだから、大丈夫よね。」「お母さんも大変なんだから、我慢できるでしょ。」という言葉は、多くの場合、親の方では、そのつもりはなくても、子供にとっては絶対的な命令です。子供は生きるために親から拒否されないように必死なので。
やがて、その無理が効かなくなった時に、特段なんでもない些細な出来事がきっかけとなって初めて表面化します。完全な電池切れ、性も根も尽きてしまった状態となって。そして、昨日まで元気だったのになぜ?と、周囲は途方にくれるのです。(これは特に子供に限らず、大人でも見られることです)
それでは、次に、脳科学的な視点から、子供の精神的発達過程を考えてみます。
★第4回目【子供の理想的な精神的発達過程について】へ続きます。