過去の辛い経験が頭から離れない時に

昔の辛かった経験を忘れることができず、苦しい思いをすることはありませんか?

あまりにも辛いので、早く忘れたいと思っても、なかなかうまくいかないことが 多いのではないでしょうか。

 

人間の脳は、否定の命令は 聞かないようになっていますからね。

「あの嫌なことは忘れよう」と考えた瞬間に、脳は、まさに「あの嫌なこと」を意識し、思い出してしまいます。

そして、思い出すごとにその記憶は強まり、より強固になってしまうのです。

 

これは潜在意識のレベルで日々僕たちの生活に影響を及ぼしています。

「なんか、頭がすっきりしない。」

「なんだか、体がだるい。」

「睡眠時間は足りているはずだけど、眠った気がしない。」

もし、こうしたことがあれば、影響している可能性があります。

 

さて、昔の辛い経験のことが気にならなくなったらどうでしょうか?

毎日、すっきりした気分で生活できるようになりますよ。不定愁訴も消えるかもしれません。

 

そこで今回は、「過去の辛い経験が頭から離れない時に考えてほしいこと」についてお伝えします。

 

ポイントは次の3つです。

①【体】

体を動かして、心拍数を上げる。

②【感情】

可能であれば、話しやすい人に話を聞いてもらう。

③【思考】

行動の結果から学んだことを整理し、そこに集中する。

・何を学んだか?と自分に質問する。

・次からは、どう行動するか?と自分に質問する。

 

あまりも辛くて、気分が落ち込んでしまい、集中できない時は、まずは、①、②をしっかり行って気持ちを落ち着かせてから、③へ進んでください。

 

それぞれについて簡単に説明します。

①気分が落ち込んだ時には、できるだけ、散歩でも、ジョギングでもいいので、強制的に体を動かしましょう。

人間の体は心拍数が増加すると、落ち込んだ気分が改善するようになっています。できれば、これを毎日の習慣にできれば理想的です。

 

②そして、もし、自分が話しやすい人、家族、友人などがいる場合は、話を聞いてもらうのもよいでしょう。

特に、話さなくても 一緒にいるだけでも 良いかもしれません。

または、犬、猫などのペットと触れ合うのも効果があると思います。

 

③そうして、感情が少しおさまってから、その時、経験したことについて、振り返ります。

基本、済んだことは、過去の出来事であり、もうどこにも存在しないことを まずは、認識しましょう。

あるのは、自分の記憶の中にすぎません。

 

それでは、一番大切な考え方について見てみましょう。

辛い経験がいつまでも頭から離れないというのはどういうことでしょうか?

その経験が、自分の中で解決されていない、何らかの気になる点が残っているということだと思います。

理性では、「もう済んだことだ。気にする必要はない。」と思っていても無意識レベルでは、済んではいないのです。

それを無理やりに忘れようとするので、ドンドン意識するようになり、頭に強く記憶されるのです。そのことを忘れようとする度に、記憶を再確認し強固にしていくようなものです。

全ての出来事に対し、自分なりの判断基準があり、それを満たしていないため納得できない場合が多いようです。

しかし、実際には、出来事自体には良いも悪いもありません。全てものの見方の問題です。

「他人に言われたことが気になってしまう時に」も参照してみてください。)

 

大事なのは、次の考え方だと思います。

『すべては、フィードバック』

人間は、フィードバックにより、本当に自分が 学ぶべきことを知ります。

そして学び続けて成長していきます。

 

これがすべてです。ここに すべての意識を 集中することができたら、気持ちは、かなり楽になるのではないでしょうか。

 

そのために、次の質問をすることでフィードバックに 全ての意識を集中させます。

「この経験により、何を学んだだろうか?」

「次回から、どのように行動するのか?」

 

★補足1 『人間は、何かを学ぶためには、痛みが必要』

人間は、痛みが伴わないと 学ばないようになっています。もし、上で述べたフィードバックにより、学ぶべきことが分かっても、痛みが伴わなかったなら、身につく可能性は 低いのではないでしょうか。

いくら、すばらしい教えも、本で読んだり、聞いただけでは、身につかないことがあります。「あー、いい話を聞いた」で終わってしまい、大切な行動が何も変わらないことはありませんか?

それと一緒です。 そんな時に、気分が落ち込むような体験をすれば、人間の、痛みを避けたい という本能が働き、強烈に記憶に残り行動が変わるのです。

 

★補足2 『人間は、成長するためには学ぶ必要があります。』

そして、何を学ぶべきかを教えてくれるのが、フィードバックであり、学びをしっかりと体に刻み込んでくれるのが痛みということになります。

これが本当に実感できた時、どんな結果に対しても、大きな感謝を感じることができるのではないでしょうか。

 

★補足3 『せっかくの学びのフィードバックを生かさないとどうなるか?』

中には、「私はこのままで、成長しなくても良い」「とにかく、辛いのは嫌だ!」という人が いるかもしれません。

しかし、神様は平等なので、そんな人にも、必要な学びを得るために、何らかの問題を与えて下さるようです。しかも、その学びを完全に得るまでは、何度でも 繰り返し与えて下さります。

そして、学び終えた途端に、その問題は綺麗サッパリ消えるようになっています。完全に目の前から消え去ります。

そしたら、その後、問題はどうなるのでしょうか?それで、おしまいでしょうか?

 

大丈夫です。より大きな問題が やってきます。そして、また、辛い経験を繰り返し 成長するように促して下さいます。

あなたにも心当たりはないですか?

 

こうして見てみると、人間にはどんどん成長するためのシステムが勝手に組まれているみたいです。

どうせ成長するようになっているのなら、もっと前向きに 辛い経験に立ち向かっていってはどうでしょうか?(なるべく辛さを減らすやり方で)

そんな風に考えることができたら、過去の辛い経験もやがて消えてくれるかもしれませんよ。

 

他に、これに関連した記事がありますので、参考にしてみてください。

「嫌な記憶を消す方法」

 

精神科医 阿部正人

 

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