簡単に自信と決断力をつける方法-其の二
———————————————————————-
こんにちは、精神科医の 阿部 正人です。
前回は、
「簡単に 自信と決断力をつける方法 其の一」
として、具体的な方法は、前回お伝えしました。
簡単にエッセンスをまとめると、
┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|
| ①しっかりと両足で立ちます。
|
| ②両腕を、腰のあたりにおいて胸を張ります。
|
| ③顔、あごを上に向けます。
| (全体としてスーパーマンのようなイメージです。)
|
| ④この状態を、2分間維持します。
|
| これを、できれば、朝などに継続してください。
|
└―――――――――――――――――――――――――――――――――
体を意識して使い、「フリをすること」で、
脳は、それに必要なホルモンを出して、その状況に最適な状態を作ります。
つまり、体の使い方が、脳すなわち心に影響を与え、
それにより、行動を変え、結果を変えることができるということでした。
でも、そう言うと、
「 何か、フリをするのは、ペテンや偽物みたいに感じる。」
「そんな、バカなことをしても、
“自分は ここにいるべき人間じゃない”と感じるだけだ。」
と言う人も いるかも知れません。
今回は、これについての、前回出てきたエイミー博士のエピソード
その他、関連のあるお話を通して
理解を深めたいと思います。
それでは、
「簡単に 自信と決断力をつける方法 其の二」
をお伝えします。
まずは、エイミー博士自身のエピソードをお伝えします。
彼女は19歳の時、ひどい交通事故にあいました。
車から放り出され 地面を何度も転がり、
頭部外傷リハビリ病棟で目覚めたそうです。
この事故で、
IQが標準偏差2個分下がったのを知って大変大きなショックを
受けました。
彼女が自分のIQを知っていたのは、
幼少時から、優れた頭脳を見出され、この子は天才だと言われていた
からだといいます。
「“自分は優秀である”
というアイデンティティを奪われてしまった」
と言っています。
しかも、医師からは、元の状態に戻るのは 難しいと言われます。
そして、卒業さえも無理だといわれるなか、
努力の末、4年遅れて大学をようやく卒業することができました。
その後、彼女の擁護者であり 指導教官である人の受け入れがあり、
プリンストン大学の大学院へ。
でも、いつも、自信がなく、「ここは自分のいる場所じゃない」
と思っていたと言います。
その直後、大きな試練がやってきます。
プリンストンでは、
最初の年に、20人の前で、20分のスピーチをする
ことになっていました。
この時、自分の正体を晒すのが怖くなり、
前の晩に、指導教官に「やめます」と電話してしまいます。
その時の指導教官は 彼女に、次のように言いました。
「できているフリをしなさい」
「やるように言われた講演をすべてこなし、ひたすらやり続けなさい。」
怖かろうが、脚がすくもうが、対外離脱を体験しようが
こう思えるまで続けなさい。
“ああ、やれている! 本物になったんだ。ちゃんとやれている”と」
その後、彼女は、現在のハーバード大に行くことになりますが、
その頃まではずっと「自分はここにいるべき人間じゃない」
と思っていたそうです。
そう思い続けながら、彼女は
ひたすらできているフリをしてやり続けていたんですね。
”できるフリをして、力強いポーズをとってください。”
”そして、自分がどんな人間か言ってやろう、見せてやろう!”
という態度で行動しなさい。
それを続ければ、やがては、ちゃんとやれるようになりますよと。
彼女は、それまで、自分が苦しみながら身に着けてきたことを
科学的に実験で証明していたのですね。
必要なのは自分の体と、一人になれる2分間だけですからね。
最後に
これをやって男性ホルモンが増え過ぎて、男っぽくなったらどうしようと
密かに心配している女性のあなたへ。
全く、心配ありませんよ。
テストステロンは、もともとが男性に比べて圧倒的に少ないので、
それが男性レベルになることはないですよ。
前述のとおり、若返りの効果もありますしね。
もしやってみて、男っぽくなりそうなら、
その前にやめればいいだけの話ですし。笑
しかも、そのころには既に、自信、決断力に溢れているでしょう。
しかし、なによりも、”百聞は一見に如かず”!!
そもそも、これを提唱して、実行している、エイミー博士の映像を
見てください。(一番最後に、URLをつけておきます)
若い時に激しい事故に遭い、以後ずっと自信がなかったという彼女ですが、
ビックリするくらい美人で、知的で、若々しく、自信にあふれ
堂々としています。
(誕生年は公開されているので、参考まで書きますが40歳時の映像です。)
これに関連した、僕の大好きな昔話を思い出しましたので
今回は、これを一つお伝えしたいと思います。
昔々、自信のない若者がいました。
表情も暗く、友達もいませんでした。
好きな女性がいましたが、
自信のないこの男性は 声すらかけることが
できません。
どうしたらいいか、悩みに悩んで、魔法使いに相談に行きました。
すると、かわいそうに思った魔法使いは、
“ある仮面”をひとつ取り出しました。
それは、“男らしく自信に満ちた顔” の仮面でした。
魔法使いは言いました。
「この仮面をつけるのじゃ。
そうすれば、おまえの望み通り、自信に溢(あふ)れた男になれるぞ。」
若者は喜んで家に帰り、さっそく仮面をつけてみました。
そして、鏡に映った自分を見てビックリ!!
そこには、これまでの若者とは 全く別人の
自信、勇気に満ち溢(あふ)れた 魅力的な男性がいました。
それからは、何をするにも自信満々で、恐れるものは何もなくなり
どんなことにも 積極的に挑戦していきました。
そして、ごく自然に、その女性に会い、やがて親しくなり
付き合うようになりました。
そして夢のような 楽しい日々が続きました。
しかし、付き合っているうちに、
だんだん、その若者は違和感を 覚えるようになりました。
本当の自分でない、偽物の自分が 彼女に愛されているのではないかと
思うようになったのです。
そして、不安で苦しい日々を 過ごすようになりました。
そのうち、彼女と会っても うわの空で、楽しくなくなり、
彼女も、それに気づくようになりました。
しだいに二人の関係がギクシャクしてきました。
若者はあまりに苦しく、耐えられなくなり、
”もう、この状態を続けるのは限界だ。
本当のことを彼女に伝えて、仮面を外そう”と思いました。
彼女が、本当の自分を知って 自分から去っていくのを覚悟し、
彼女の前で、これまでの経過を すべて話しました。
それを聞いた女性は、とても驚き言葉を失いました。
しかし、彼女は 事実を聞いてしまった以上、もう仮面をつけたまま、
これまでの関係を 続けることはできない と思いました。
そして、覚悟して 若者にすべてを委ねました。
若者は、あの日から これまで一度も外したことのない
仮面に手をかけると、ゆっくりと外しました。
不安で目を閉じていた彼女が、意を決して
まぶたをそっと開いて、若者の素顔を見ました。
「あら、なにも、変わってないわ。」
おしまい
昔の人も、フリをすることの効果を 経験的に知っていたから、
こんな昔話があるんでしょうかね。
なお、この方法で、自信、決断力が少しつき始めたら、
次の段階で心がけることがあります。
これについては、また、別な機会(其の三)でお話ししますね。
(参考)
社会心理学者 エイミー カディ博士(ハーバード大 女性 1971-)
TED 2012 「ボディランゲージが人を作る」 (21分03秒) から
興味のある方はどうぞ。