- こんにちは、精神科医の阿部です。
仕事、近所づきあいなどで、嫌な人だけども、上手く付き合っていかないといけないことってありますよね。
多少、嫌だなというレベルでは、我慢しながら なんとかやり過ごすことも可能かもしれません。
しかし、何事にも限界があります。
人間は、限界を超えると、表情、態度に出てしまうものです。そうなると、その感情は、相手にも自然に伝わり、相手の反応も厳しくなり…と、さらに関係が悪化してしまいます。
ですので、これは限界だと思った時に何らかの方法があればいいですよね。
とっておきの方法があります。
そこで今回は、「 苦手な人に対する感情を 一瞬で変える方法 」を お伝えしたいと思います!
これは、クレーマー対策にも応用できると思いますよ。
【方法】
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①嫌だと思っている人に対し、なんらかのストーリーを作ります。
(その人が、実は、辛い状況を背負っているといった内容)
②そのストーリーを何度も、イメージして思い浮かべ真剣に信じる。
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非常に簡単ですが、とてもパワフルな方法です。
これによって、相手に対する感情を一瞬で変えることができます。
これだけだと わかりにくいと思いますので、具体的なストーリーを出して説明します。
◆ストーリー1◆
例えば、その嫌な相手は、実は、一人暮らしで、家族に見放され、自暴自棄になり、家は荒れ放題。
離婚調停中で、慰謝料とか、色んな問題が山積みの状態で、とても、仕事に行ける状態じゃない。それを、ただ、気力だけで仕事へ来ているから、配慮の無い事を言って、みんなに嫌がられているんだ。
というストーリー。
◆ストーリー2◆
または、その嫌な人自身は知らないが、実は、癌に侵されていて、余命1年くらいしかない状態。その事を、あなただけが たまたま知ってしまったいうストーリー。
何でもいいので、憐みの感情が浮かんでくるような自分が想像しやすいストーリーを考えて、繰り返しイメージして、真剣に信じてみてください。
なぜ、これで感情が変わるかというと、
人間の脳は、「相手のストーリーを理解する事で、一瞬で、共感し自然に感情を変えてしまう」ように できているからです。
これは憎しみ、怒りなどの強い感情でも 例外ではありません。
★試しに、次のような例を考えてみましょう。
あなたが乗っている電車に、父親らしき人と、3歳と5歳の男の子が乗ってきました。
すると、子どもたちは、靴をはいたまま、座席に上がり、ギャーギャーと大声で騒ぎ出しました。
父親らしき人は、近くに座っていますが、うつむいたままで注意しようともしません。
こんな状況にいたら、普通なら、「なんて躾(しつけ)のなって無い子供達なんだ、オヤジなんとかしろよ!」って、腹が立ってくると思います。父親の目の前で、怒鳴りつける人も出るかもしれません。
でも、そこに、別の男性が来て、「大変申し訳ありません。実は、この子たちの母親が、突然、事故で亡くなりまして、今、葬式の帰りなんです。きっと、この子たちは、どうしていいかわからず、こうして気を紛らわせているんでしょう。 父親も、この通り、すっかり気が動転してしまっています。」
と言ったとしたら、どうでしょうか?
一瞬で、この子たち、父親に対して共感し、自分の感情が変わるのを 実感できるのでないでしょうか。
★ただし、「なぜあんな嫌な相手のために、わざわざ、そんなことまでしてやらなければならないんだ。あいつは根っからの嫌な奴に決まっているんだから、そんなことはしたくない」と思う人も、中にはいるかもしれません。
しかし、”これは、あくまでも、自分自身のためにやる事だ”と割り切って、自分がどうしても我慢ができないと思った時には、やってみることをお勧めします。
効果は絶大ですので。
ストーリーを作り、それを信じることが出来れば、あなたの感情が変わり、それによってあなたの態度も自然に変わります。
そして、上手くいけば、それによって、相手の態度も変わる可能性もあり、結果として関係が改善することもあり得ます。
一度、良好な関係になってしまえば、そのあと維持するのはとても容易になるでしょう。
他に、これに関連した記事がありますので、参考にしてみてください。
・「嫌な気分になった時に」
・「相手を変えることの難しさ」
・「強制的に感情を切り換える方法」
精神科医
阿部正人