今回は、第2回目【子供が親離れする過程】についてお伝えします。
人間は、生まれてしばらくは、自分では何もできないので100%親の支援が必要になります。そして、その後の幾つかの段階を経て自立していきます。これは時が経てば勝手にその時期がくるのではなく、本来は各段階に必要な過程をこなすことで自立に向かうと考えられています。
子供は生まれてからは、痛み、空腹感などの不快を避けるという本能に導かれて育ち、その結果として快楽を与えてくれる母親から離れることができなくなります。母親から離れた時、苦痛、空腹感、その他の不快感に襲われるからです。つまり、生死に関わる本能的な強い力に支配されることになります。
見方を変えれば、この親から離れないようにと強力な力が働くから、子供が安全に成長できる確率が高まるということです。何かのきっかけで、簡単に親元を離れてしまう子供は生き延びる可能性は極端に減るからです。
それほどに強力な力を抑え込み、自立していくということはよく考えればすごいことです。
それでは、その過程を段階ごとに見てみます。(子育ては主に母親がすることが多いので、以下は親→母親として書きます。)
①母親は、子供にとって不快を避けて、快楽を与えてくれる生きるために欠かせないものです。そのため、一瞬でも自分の視界から母親の姿が消えることに対し大きな不安を感じるので、母親から離れることはできません。母親が視界から消えたり、母親の感触が消えたりすると、大声で泣くことで母親が解決してくれることを学習し、それにより不安を解消していきます。
②しかし、その後、体の運動機能が発達してくると、一時的に母親の姿が視界から消えても、振り返ったりすることで母親の姿を確認し、安心感を持つことを学びます。これにより母親と子供が常時密着している状態から少し距離が取れるようになります。
③その次の段階として、歩行が可能になると、外界への興味も出てきます。母親から離れる不安と、外界への興味との葛藤が起こります。この時、不安になると後ろを振り、母親の姿を見て安心し、不安に打ち勝って前に進むことが出来るようになります。
④そのうち、記憶の発達とともに、母親の姿が振り返って見えなくなっても、家の中にいる母親を思い出すことで、あそこへ行けば母親が待っているので大丈夫、と思い安心できるようになります。そうなると子供の行動範囲はさらに拡大します。この段階で、自立のスピードが格段にアップします。
⑤このように母親から離れている時間が徐々に増えると共に、一人でいることに対し自信がついてきます。そして実際に多少なら問題や不安なことがあっても、母親のいる所に戻れば大丈夫と、チラッと思い浮かべるだけで安心できるようになります。こうして多くの経験をして自信がつき、自立の過程が完了します。
多くのケースでは、概ねこのような経過をたどると考えられます。
★次に、この過程において大切なことを考えてみます。