うつ病患者さんご家族へのアドバイスシリーズ第3回「精神科医療の利用方法」

「うつ病患者さんご家族へのアドバイスシリーズ」として、関連するテーマごとに記事を書いています。

これまでの経験を踏まえ、患者さんの改善に効果的だった対応について書きます。うつ病患者さんを想定した接し方を説明しますが、基本的なことは、他の患者さんにも応用できると思います。


今回は、第3
回目「精神科医療の利用方法」です。

以前、「精神科医による精神科医の利用方法(前編・後編)」という記事を書きました。これを補強する内容になっていますので、合わせてお読み頂ければ、より理解が深まると思います。

——目次——-

1.精神科受診をより効果的にするための5つの方法

2.精神科受診の時、主治医に伝えるべき大切なポイント

3.精神科受診の時、主治医に確認すべき大切なポイント

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まずは、大切なポイントから。

 

1.精神科受診をより効果的にするための5つの方法

①受診の際は、電話で予約状況、混み具合を確認してから受診しましょう。

(これによるメリット)

待ち時間を最小限に抑えることができます。待ち時間が長くなることは、ストレスを増やします。さらには、精神科の待合室では、時に具合の悪い患者さんもいたりして、その影響を受けることもないとは言えません。

(説明)

病院によっては、予約外の患者の診察ができないところもあります。診察可となっても、より症状の重篤な患者さんがいれば、そちらを優先することになります。

 

②予め、診察時に医師に伝えたいこと

これまでの簡単な経過、質問事項をメモにまとめておきましょう。あらかじめ医師に渡して読んでおいてもらうこともできます。その為にも、日々の出来事を簡単に日記風にメモしておくとよいでしょう。

(これによるメリット)

十分な情報提供ができ、ポイントを絞った診察ができます。それにより、患者さんの負担も少なくてすみます。(診察時間が長くなると、患者さんが疲れて診察に集中することが難しくなります。)

準備していない場合、診察室では、緊張したりして、ど忘れなどが多発します。 あらかじめ準備しておくことで、余裕も生まれます。

 

③可能であれば、診察室で最近の本人の状況をよく知っている方の同席をお願いします。

(これによるメリット)

・本人の体調が優れない場合、十分に自分の事を話せないこともありますし、敢えて、本当のことを言うことができないこともあります。(患者さんは、本当の事を話したら、恐ろしい精神科診断をつけられてしまうのでは?という考えが潜在的にあり、全てを話すことに対し、心理的に抵抗することが多いです)

本人が同意すれば、同席の方からお話を聞くことができます。

・うつ状態、うつ病では認識能力、記憶力も本来の状態に比べ低下していることが多く、精神科医の説明、指示を十分理解できなかったり、後で思い出せないことがあります。そんな時、同伴の方がいると心強いはずです。

・主治医から治療方針について説明を受ける際、ご家族が同伴していると、全ての情報を共有し、患者さんを含むご家族全員が一貫した行動が取れるようなります。

ここで、家族の対応方法、どんな時に病院に連絡すればよいかなどについて疑問に思うことを、その場で直接主治医に確認することもできます。→ご家族の強力が得られた方が、患者さん本人も安心するためか、症状の改善が早いようです。

(補足)本人がどうしても家族に伝えたくない部分があれば、その旨を主治医に伝え、ご家族の途中退席をお願いすることもできます。

 

④もし、受診に際し、患者さんがご家族の同席を拒否するようでしたら、無理しなくて構いませんが、なるべく病院への同伴はお願いします。

(説明)

受診前に、家族の同席を拒否していた場合でも、診察後に医師が本人と信頼関係を築くことができると、治療に対する姿勢がより積極的になり、ご家族の同席に対し本人の同意が得られることがあります。(医師が本人に対し、効果的な治療を行うためには、十分な情報収集が必要で、その為にはご家族の同席が必要であることを説明します。最低、同席は無理でも、別々に診察する事に同意することもあるので同伴して頂くと助かります)

(補足)

もし、本人が、診察内容についてご家族に話して欲しくないと意思表示すれば、本人が正常の判断能力がある場合は、医師は、個人情報をご家族であっても提供することはできません。これに反して個人情報を家族に伝えて、そのことを患者さんが知った場合、患者との信頼関係がこわれ、以後、治療を進めることはできなくなってしまいます。

 

⑤職場での状況も診断に有益であるので、可能なら職場の上司同伴もお願いします。

(これによるメリット)

その場で、職場での環境調整など必要な対応について相談でき、治療がスムーズに進みます。本人、または、ご家族が、本人の病状を職場に報告する手間もなくなります。

 

2.精神科受診時、主治医に伝えるべき大切なポイント

精神科医は、概ね、前回受診時との差を意識して、下記の項目について確認する事が多いです。(これにより、前回受診時の治療方針(精神療法、薬物療法)の効果が判定でき、それに対し、必要に応じて今回修正することができるため。)そこで、予め、そこにポイントを絞り、下記項目について前回受診時との差を伝えることで効率的に診察が行われます。

(1)症状(その経時的変化、症状が変化するキッカケ(あれば))

(2)自宅での休養状況

更に、

(3)服薬状況(不具合、飲み忘れがあったら、その時の状態も)

(4)近い将来に起こるストレスフルな行事の予定

(5)その他、気になったこと。

 

 

3.精神科受診の時、主治医に確認すべき大切なポイント

(1)診断名、病状など

診断名(初診時、および変更があった時)、考えられる原因、

(2)治療方針

治療方針、使用する薬物の情報(作用と副作用)、家族の対応方法

(3)その他注意点など

治療中に予想される問題点と、対策方法など

 

ネットの情報は、明らかに間違っているものや一部の人にしか当てはまらないことも混じっており、そこだけを信用すると不安になることが多いです。ですので、ネットで調べようと思っていることがあったら、直接聞いてしまいましょう。

次回(第4回)は、「精神科医療の概略」について述べます。

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