長い間引きこもり生活を続けられているお子さんをお持ちの方へ(第1回)

★はじめに

★まず、考えて欲しいこと

★具体的説明の前に、ご家族の方お伝えしたいこと

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 ★はじめに

①現状

厚労省は、2019年3月に初めて、40~65歳の引きこもりの方の総数を発表しました。

それによると全国で約61万人とのこと。これは、これまで報告されてきた15~39歳の引きこもりの方の数、54.1万人を7万人ほど上回るものです。 今後何らかの有効な対策をしなければ、新たな発生がないと仮定しても、確実に毎年、若年層からの引きこもりの数が、トコロテン式にほとんどそのままシフトするので、確実に増加する状況です。

 

私は日頃から引きこもりのお子さんを持つご家族のお話を聞く機会があります。

その中で感じるのは、長期間引きこもりの生活をされてきた中高年の方、そして、そのご家族の多くは、これまで、実に多くの所に相談し、アドバイスを受け、大変な努力をされているということです。

 

多くの専門家、専門書があり、さらに、インターネットの発達により、現在では有り余るほどの情報に囲まれています。人間の行動や、心理に対する知見も日々蓄積されています。

これを書いている瞬間にも、情報は増え続けています。

それなのに、引きこもり方の数は減らずに、逆にどんどん増加を続けているのはなぜでしょうか?

これは、「知識だけを追い求めても、解決にはならない」ということの表れなのかもしれません。

 

②必要なのは情報だけではない。

これまでの私の経験から言えることがあります。

「解決するケースは確実に存在します。

そして、そこで必要となる知識や情報はそれほど多くはありません。

単純なことをコツコツと愚直に続けることです。」

 

つまり、実績のある少ないことを着実に実行することが大切なのだと思います。

多くの人は、なにか、劇的に効果が得られる素晴らしい方法を求め、いろいろ実行しますが、効果がみられないので、次の方法を探し、試し‥‥の繰り返しで、疲弊しているように思います。

  

★まず、考えて欲しいこと

 

1.新しい行動を始めて、それを継続するということとは

実は、誰にとっても、それまでの行動を変えて新しいことをすることは結構難しいものです。

それまでの行動を続けてきた期間が長ければ長いほど。

これは習慣という大きな力が働いているからです。

 

また、勇気を出して新しい行動を始めたとしても、それを継続するというハードルが待っています。ご自分の体験を思い出してもらえればわかると思いますが、これは新しい習慣を作ることですので、とても難しいものです。

 

2.長い間引きこもりを続けている人が、一般的な解決策を理解しても、行動できない一番の理由とは

多くの場合、考え方、やる気の出し方などの方法や、次のステップとして簡単な行動などを指導されることが多いようです。しかし、ほとんどの場合、実際に内容は理解できてもいざ実行しようとしても実行できないままに終わるようです。

もしかしたら、あなたにも頭ではわかっていても体が動かないという体験はありませんか?

それはなぜなのでしょうか?

 

①行動には思考より感情が大事

人間は、頭で考えて行動すると考えられているので、効果的な方法を知り理解さえすれば行動できるように思われがちです。

しかし行動にとって重要なのは、実は感情で、これが伴わないと行動できないことがわかっています(感情を司る脳の部位が損傷すると、日常の些細なこと-目の前にあるもののどちらを選ぶかなど-も判断できなくなり、結果として行動できなくなることが報告されています)。

 

まずは、何らかの感情が動き、それにより決心ができ、行動に映るというのが正しいようです(思考は、あくまでも後付けで、辻つまを合わせているに過ぎないようです。脳科学では、数多くの実験で、行動は思考よりも先に起こることが実証されています。

(例えば、眼の前の水を飲む時の事を考えてみましょう。まず、脳内で目の前の水を飲むという司令が出ます。 そして、その直後に、「のどが渇いているから水を飲もう」という思考が発生するということです。)

 

しかも、感情が動くためのエネルギーは、頭で理解するためのエネルギーよりかなり大きいので、頭で理解できたとしても、感情が動くだけのエネルギーが残っていない場合は、実行に移すことができません。

 

②長年引きこもりの生活をしている人はエネルギーが不足している

長年引きこもりの生活をしている人は、そもそも大したことは何もしていないのだから、エネルギーはあまり使われていないのでは?と思われるかもしれません。

一般に人間は悩みや問題を抱えることで、精神的なエネルギーを消費しています。特に、引きこもりの方は、日々休むことなく、他人の眼を気にし、自分の立場を守ることに全神経を使い、思考を働かせているので、そこで使われるエネルギーは莫大なものだと思われます。

そのため、何年も引きこもりの生活をしている人は、一見好きなことをしているように見えても、必要最小限のエネルギーしか残っていない事が多いと考えられます。

解決策を理解するエネルギーは残っているので頭では理解するのですが、それだけでは行動できず、頭ではわかっているのに行動できないことに対し、自己嫌悪を感じていることが多いようです。

 

ですので、長年行動を変えることができなかった場合は、まずは、やってみたい、という感情が沸き起こるまでエネルギーを蓄えることが必要だと思われます。

 

それでは、こうしたエネルギー不足への対策を含めた具体的方法について以下で説明していきます。

 

★具体的説明の前に、ご家族の方お伝えしたいこと

本人が変わるためにはエネルギーが必要だとお話しましたが、それを援助するご家族は本人以上のエネルギーが必要です。まずは、エネルギーの不足した本人に変わって、ご家族に頑張ってもらう必要がありますので。

 

はじめに、ご家族がご本人にエネルギーを呼び水のように与えて、それによってご本人がエネルギーを出せるようになるイメージです。

 

これからお伝えする方法は、実績のあることですが、継続する必要がありますので、長期戦を覚悟する必要があります。

 

それでは、次回から、

全体像と具体的な方法について説明します。

第2回 私が考える基本戦略(全体像)

第3回 はじめの第一歩について

 

 

次回、第2回 私が考える基本戦略(全体像) に続きます。

 

精神科医

阿部正人

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